私が画商として働いていた時は、デパートの外商顧客向けのホテル催事に参加させていただいていた。
ホテル催事とは、外商顧客の中でも、とりわけVIP待遇される年間購入金額の高い顧客が招待され、大体は土日限定でホテルの催し会場で行われる催事である。
当時、ホテル催事に呼ぶ顧客は、担当している外商が選んで招待するようなスタイルであった。
つまり、招待したら来てもらえそうな顧客、今後も購入見込みがありそうな顧客が呼ばれやすい。
宝石、ハイブランドや高級酒などのブースの一角に、美術品のブースが設けられることが多い。
ここで、出展する卸の画廊業者毎に、一押しの物故作家の作品や、流行作家、売り出したい作家等、テーマを決めて展示を行うのだ。
景気の良い時代、ホテル催事では、本当に気持ち良く何千万、ラッキーな時は何億の作品が売れたのである。
現在は寂しい売り上げになることも多い、ホテル催事。
その時代にあったビジネスをするって、大事なことだ。
昨今は昔ほど羽振りの良い顧客は減っているように感じる。
そんな羽振りの良い顧客って、どんな職業に就いているのか、というと、
主に、資産家と起業家、経営者、医者・歯医者、弁護士、会計士が多い。
加えて、最近はアジア系富裕層や外資系高給サラリーマン等も顧客に多い。
…予想通りの職業がズラリ、と言ったところだ。
中でも1番羽振り良く付き合いも含めて購入してくれる方が多かったのは、中小企業の経営者の人たち。ある程度自由に経費が使えるからか、流行り物も良く買っていた印象が強い。。
画商をしていた時には、日本の経済というのは、本当に中小企業の経営者に支えられているなー、なんて実感したものだ。
医者、歯医者、弁護士、会計士…等、世間的にステータスのある士業の人達は、士業の専門職兼経営者といった方が多く、雇われて士業として働いている人は、あまり見たことがなかった。
資産家の方はお財布の紐が硬い人が多かった印象だ。
昔は、ホテル催事に来たからには、お付き合いも含め何かしら買ってくれる顧客が多かったものだが、最近は景気も悪く、付き合いで購入、という概念がひと昔前のものに感じることも多い。
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