こんにちは。
今回は、日本で20年振りとなるマティス展のレポートをお送りいたします!
概要
場所 | 東京都美術館 |
会期 | 2023年4月27日〜8月20日 |
チケット | 事前予約必須。 一般 2,200円、大学生 1,300円、高校生以下は無料。 |
音声ガイド | 上白石萌歌 レンタル版は650円、アプリ版は800円。 |
写真撮影 | 第4・5・6章は撮影可。 |
構成
マティスの駆け出し時代〜最晩年までを、8章に分けて構成。
見所となる油彩画は、主に4〜6章に集約されている。
構成 | 年代 | マティスの年齢 | 展示作品数 |
第1章 フォービズムに向かって | 1895 – 1909 年 | 26 – 40 歳 | 21点 |
第2章 ラディカルな探求の時代 | 1914 – 18 年 | 45 – 49 歳 | 8点 |
第3章 並行する探求ー彫刻と絵画 | 1913 – 30 年 | 44 – 61 歳 | 9点 |
第4章 人物と室内 | 1918 – 29 年 | 49 – 60 歳 | 16点 |
第5章 広がりと実験 | 1930 – 37 年 | 61 – 68 歳 | 8点 |
第6章 ニースからヴァンスへ | 1938 – 48 年 | 69 – 79 歳 | 24点 |
第7章 切り紙絵と最晩年の作品 | 1931 – 54 年 | 62 – 85 歳 | 38点 |
第8勝 ヴァンス・ロザリオ礼拝堂 | 1948 – 51 年 | 79 – 82 歳 | 31点 |
展示風景
写真撮影可能な第4・5・6章の様子をお届けします!
「若い女性の肖像」Portrait of a Young Woman
1925年 油彩・厚紙 40×16cm
「若いスペイン女性」Young Spanish Woman
1921年 油彩・厚紙 56×26cm
「赤いキュロットのオダリスク」Odalisque with Red Trousers
1921年 油彩・キャンヴァス 65.3×92.3cm
モデルは、1920年代にマティスがお気に入りだった、アンリエット・ダリカレール。
「ニースの室内、シエスタ」Interior in Nice, a Siesta
1922年 油彩・キャンヴァス 66×54.5cm
「グールゴー男爵夫人の肖像」Portrait of Baroness Gourgaud
1924年 油彩・キャンヴァス 81×65cm
「石膏のある静物」Still Life with Plaster Torso
1927年 油彩・キャンヴァス 52×64cm
*石橋財団アーティゾン美術館所蔵
「緑色の食器戸棚と静物」Still Life with a Green Sideboard
1928年 油彩・キャンヴァス 81.5×100cm
「夢」The Dream
1935年 油彩・キャンヴァス 81×65cm
「座るバラ色の裸婦」Seated Pink Nude
1935-36年 油彩・キャンヴァス 92×73cm
リディア・リレクトルスカヤを描いた本作は、最小13段階の修正を行なっており、最終的にこのような幾何学形態となって残された。
「鏡の前の青いドレス」Small Blue Dress Before Mirror
1937年 油彩・キャンヴァス 64×49cm
*京都国立近代美術館所蔵
「ラ・フランス」La France
1939年 油彩・キャンヴァス 44.8×36.7cm
*ひろしま美術館
「若い女性と白い毛皮の外套」Young Woman with a White Fur Cloak
1944年 油彩・キャンヴァス 73×60cm
「緑色の大理石のテーブルと静物」Still Life with Green Marble Table
1941年 油彩・キャンヴァス 46×38.5cm
「立っているヌード」Standing Nude
1947年 油彩・キャンヴァス 65×54.2cm
「赤の大きな室内」Large Red Interior
1948年 油彩・キャンヴァス 146×97cm
「マグノリアのある静物」Still Life with a Magnolia
1941年 油彩・キャンヴァス 74×101cm
「黄色と青の室内」Interior in Yellow and Blue
1946年 油彩・キャンヴァス 116×81cm
「扇を持つスペイン女性」Spanish Woman with a Fan
1923年 木炭、擦筆、アルシュ紙 51×40.2cm
「《夢》のための習作」Study for The Dream
1935年 グラファイト・紙 24.8×32.3cm
「裸婦」Nude
1930-31年 グラファイト・紙 28×21.6cm
「両腕を上げる裸婦」Nude with Arms Raised
1930-33年 グラファイト・ヴェラン紙 32.1×24.7cm
「トルコ風肘掛け椅子に座るリゼット」Lisette with a Turkish Armchair
1931年 インク、アルシュ・ヴェラン紙 28.3×38cm
「自画像」Self-Portrait
1937年 木炭、簀の目紙で裏打ちした紙 25.4×20.3cm
「アラゴン」Aragon
1942年 インク・アルシュ紙 52.9×40.5cm
「主題と変奏E10」Themes and Variations E10
1941年 墨・簀の目紙 56.6×38cm
「デッサンー主題と変奏」
(パリ、マルタン・ファビアーニ刊、1943年)
序文ルイ・アラゴン「フランスのマティス」
「女性の顔(星柄のヴェール)L5」Woman’s Face (Starry Veil)L5
1942年 クレヨン・ヴェラン紙 33×51.7cm
「女性の頭部」Head of Woman
1941年 インク・紙 20×26cm
「眠る女性」Sleeping Woman
1942年 木炭・紙 29×40.5cm
「静物」Still Life
1944年 墨・紙 56.3×43.5cm
「麦わら帽子を被った自画像」Self-Portrait with Straw Hat
1945年 インク・紙 40.1×26cm
「アイリスの花」Iris Blossoms
1941-42年 クレヨン・ヴェラン紙 26.9×21cm
「レリッシュ教授の肖像」Portrait of Professor Leriche
1949年 木炭、擦筆、アルシュ紙 38.4×27.2cm
「コレット」Colette
1950年 木炭、擦筆、アルシュ紙 40.4×33cm
「文芸・文学雑誌ヴェルヴ」
表紙デザイン:マティス
エダマメの感想
展示作品
代表作と言うには弱い作品が多いが、
マティスの制作過程や思考がよくわかる良作が多かった。
展示作品は、主にポンピドゥー・センター(国立近代美術館)で所蔵されている作品。
マティスの代表作はエルミタージュ美術館(ロシア)が所蔵しているものが多く、次いでアメリカで所蔵されている作品が多い。
昨今の世界情勢を鑑みると、マティスの代表作を多くの人が見る機会は暫く閉ざされていると言えるだろう。
一方、ポンピドゥー・センター(国立近代美術館)で所蔵するマティスの作品は、代表作と言うには弱い作品もあるものの、マティス自身が最晩年まで大事に手持っていた作品である。
マティスが自らの画風を確立するまでの変遷を知ることのできる貴重な作品群は、大変見応えがある。
「マティスの油彩は好きだけど、版画は地味だからなぁ。」
エダマメが販売員をしていた時、接客中に何度も聞いたことのある言葉。
その度に、マティスは病の中で、美しく端的な形と線で描くことを極めた作家だということを、何度も説明してきた。マティスの作品が商業的に版画や挿画本として売り出されたのは、マティスが持病で筆を握れなくなってしまった後の作品が殆どだ。
確かに、マティスの鮮やかな名画を見た印象からだと、切り絵や素描のようなタッチの版画は地味に感じると思うが、本展では、マティスが自身の病と闘いながら、切り絵という最晩年の表現方法に辿り着くまでの変遷がよく理解できる構成だったと感じている。
肌感覚として、昨今、日本でのマティス人気は若干低迷しがちであるような気がしていたが、本展のような、マティスに限定した大規模展覧会が行われたことが大変喜ばしい。
本展を機会に、さらにマティスの人気が高まることを願いたい。
混雑具合
予約制の為、比較的ゆったりと鑑賞できる。
ミュージアムグッズ
- ポストカードやクリアファイル等、定番のグッズは一通り手に入る。
- オリジナルキーホルダー等は無く、トートバッグは4〜5千円台と、高価。
- 図録の表紙は3パターンあり、好みの絵柄を選べる。
- ポンピドゥセンターのミュージアムショップのグッズを輸入したものを扱っているため、価格は比較的高価に感じる。
- 挿画本の版画も一部取扱あり(復刻版は6万円台〜、通常盤は14万円台〜)。
- 過去のマティス展の図録もプレミア価格で販売している
展示作品の寄託先
ポンピドゥー・センター(国立近代美術館)では、マティスの作品を約250点ほど所蔵しており、今回約150点ほどが来日している。
フランスのポンピドゥー・センター(国立近代美術館)に所蔵されている作品の他、以下の美術館からの寄託作品も展示。
フランスの美術館
- カトー=カンブレジ・マティス美術館
- ニース・マティス美術館
- ボルドー美術館
- オルセー美術館
- グルノーブル美術館
- ブザンソン美術考古学博物館
- ディジョン美術館
- パリ装飾美術館
日本国内の美術館
- メナード美術館
- 石橋財団アーティゾン美術館
- 京都国立近代美術館
- ひろしま美術館
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